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アルバート坊や【心理学専門用語】ジョン・B・ワトソン実験

ヒカル
ヒカル
アカネ館長、アルバート坊やってご存知ですか?
アカネ
アカネ
あら、急にどうしたのよ?
ヒカル
ヒカル
いやぁ、ちょっと調べ物をしていて…。
アカネ
アカネ
そう、分かったわ。じゃあ、簡単に説明して差し上げるわ。

『アルバート坊や』をあなたはご存知だろうか?

心理学に造詣がない人間がアルバート坊やと聞けば、きっと、どこかの元気な坊やを想像するのだろう。

人物A
人物A
アルバート坊や…ですか。それって、どこかの御曹司様ですかい?

『アルバート坊や』は、発達心理学の世界では物凄く有名であり、非常に重要な心理学用語でもある。

今回はあなたに可能な限り、分かりやすくご説明をしていきたい。

 

心理学の非人道的実験

こんにちは、心理学メンタリスト図書館、館長の宮裏アカネ(みやうらあかね)です。

私があなたに今回、お話しする内容は『アルバート坊や』とは何かについてです。

そして『アルバート坊や』を、なるべく分かりやすく話していきたいと思います。

ちなみに『アルバート坊や』は心理学の歴史では非常に有名なお話しなので、インターネット上にたくさんの情報が出ています。

例えば、有名な大学、同志社大学さんのWEBサイト内でも説明がされています。

あるいは、アルバート坊やの実験をした当事者である、ジョン・B・ワトソンについて詳しく記載があるWEBサイトも一応、参考としてご紹介しておきます。

こちらの記事では、心理学実験史の中で最も論争混乱が多い内容として、アルバート坊やが紹介されています。

ぜひ、いろんなWEBサイトも合わせて参考にして、あなたの理解を深めて頂ければと思います。

アカネ
アカネ
じゃぁ、うちでも紹介するわよ。

 

アルバート坊やを選んだ理由

アルバート坊やとは、行動心理学の創設者であるジョン・B・ワトソン(1878年〜1958年)が行った実験の被験者である。

アカネ
アカネ
まず、アルバート坊やは実験の被験者よ。

ジョン・B・ワトソンが行ったこの実験は、心理学の世界では、超がつくほど有名な実験であり様々な議論を呼び、騒がれたと言って過言ではない。

ジョン・B・ワトソンとその助手の大学院生ロザリー・レイナーは、1920年に発表した論文の中で、彼らが『アルバート・B』と呼ぶ乳児に対して古典的実験をしたことを発表。

ジョン・B・ワトソンは、こう主張した。

乳児とは、白紙の状態にあり、全ての人格と行動は環境的影響によって条件づけられる。

つまり、生まれた後の環境によって、どんな人になるか、どんな行動をとるのか、それらが決定する。

アカネ
アカネ
人格も行動も後天的に決まる、そういうことね。

彼はキャリアの最後の実験で、己の主張の実験的裏付けを獲得するために、犬ではなく人間の被験者を使って、パブロフ型条の件づけを行った。

実験開始時、アルバート坊やは生まれて間もない生後9ヶ月であった。

ジョン・B・ワトソンは、自身の論文の中で、アルバート坊やが選ばれた理由を、こう語った。

健康で気質的にも元気で丈夫そうに見えたから、この子にした。

 

アルバート坊やの実験

まず最初に、アルバート坊やには様々な種類の刺激が与えられた。

例えば、白ネズミ、うさぎ、燃えた新聞などの刺激である。しかし、アルバート坊やは、怖がる反応を見せなかった。

ただし、アルバート坊やの背後で、鋼鉄の棒を釘抜き付きのハンマーで叩いた時、アルバート坊やは怖がって泣き始めた。

それから2ヶ月後、アルバート坊やは再度、白ネズミを見せられた。

今度は、アルバート坊やが白ネズミに触れるたびに、鋼鉄の棒をハンマーで叩く音をアルバート坊やは聞かされることになった。

これを7回行った後、アルバート坊やに変化が訪れた。

アルバート坊やに、大きな音をわざわざ聞かせなくても、白ネズミを見ただけで、泣いて逃げるようになったのだ。

つまり、白いネズミは怖いもの『白ネズミ=恐怖』を、アルバート坊やは条件づけされた。

しかし話は、まだ終わらない。

白ネズミだけではなく、うさぎやヒゲのあるサンタのお面、ワトソン自身の髪の毛、でも同様のテストをアルバート坊やに施した。

その結果、この条件反射は白ねずみ以外の『白くてふわふわしたもの』でも起きるようになったのだ。

それから1ヶ月後、アルバート坊やの母親が引越しをしてしまったため、アルバート坊やがその後、どのようになったのかをフォローすることができなくなった。

そのように、ジョン・B・ワトソンは主張したのだった。

アカネ
アカネ
この実験を通して坊やは『白くてふわふわしたもの』が怖くなってしまったのよ…。

 

実験の悲しい真相

この当時、アルバート坊やの実験が倫理的にどうなのか、その類の議論は起きた。

そこでジョン・B・ワトソンは、こう語った。

これらの実験は、うまくすれば恐怖を取り除く方法を見つけるための助けとなるかもしれず、犠牲を払う価値がある。

つまりジョン・B・ワトソンは目的が手段を正当化すると主張し、自身を守ったのだ。

ちなみにフリー百科事典ウィキペディアでは、ジョン・B・ワトソンをこのように紹介している。

その後、アルバート坊やは、心理学の教科書には必ず登場する人物になった。

巷では…

人々
人々
坊やは大人になってからも、白くてふわふわした物を理由もなく怖がるのかな?

そんな冗談めいた憶測があらゆる場所で飛び交い、噂が一人歩きを始めた。そして、アルバート坊やは一躍、伝説の人となったのだ。

しかし、2009年7年の調査を経て、心理学者のホール・P・ベックが、アルバート坊やの悲しい真相を明らかにした。

アルバート坊やの本名は『ダグラス・メリット』

ダグラスは、実験が行われた病院で乳母として働いていた女性の息子であった。そしてダグラスは、水頭症により6歳の時に亡くなっていた。

また、アラン・J・フリードランドによる追加調査によると、その病気は生まれつきのものだった。

ヒカル
ヒカル
あれっ!?ダグラス君は健康だったから実験の被験者に選ばれたんじゃないんですか?
アカネ
アカネ
そうね、ジョン・B・ワトソンはそう世間様に言ってたわね。

その通りである。しかし、ダグラス・メリットは、生まれながらにして病を抱えていたのだ。

であれば、ジョン・B・ワトソンはもちろん、ダグラス君(アルバート坊や)に、認知機能障害があった事は知っていたはずなのである。

つまり、1920年の論文に矛盾が生じてしまった。

ジョン・B・ワトソンが、ダグラス君(アルバート坊や)を選んだ理由。

それは、ダグラス君に認知機能障害があったために、刺激に対して比較的反応がなかったからだった。

その可能性、大いにあり得るのだ。

なぜなら、もしもダグラス君が『正常な乳児』であれば、初めから刺激に対して恐怖を示した、かもしれないのだ。

そもそも、条件づけの実験は成立しなかった可能性も大いにある。

そうだとすれば、恐怖心は、条件づけによって獲得されたものだという、ジョン・B・ワトソンの主張には矛盾が生じる。

また、ダグラス君の母親は、実験が行われていた病院で勤務していた。

つまり、自分の子供が明らかに苦しめられる実験に、同意せざるを得ない圧力があったと見られている。

アカネ
アカネ
我が子を進んで被検体にする母親なんて、いないわよね?

 

ジョン・ワトソン権威失墜

ベックとフリードランドは、ジョン・B・ワトソンのキャリアは、アルバート坊やの実験を背景に築かれたことを指摘した。

また、次の様に語った。

ワトソンは自分自身を、子供の発達のエキスパートだと宣伝した。

ダグラス君、つまりアルバート坊やが、健康で正常だと言う作り話しで、ベストセラー『幼児と子どもの心のケア(Psychological Care of Infant and Child)』(1928年)を書きました。

この本は、自発性や愛情に満ちた世話よりも、厳しいしつけとストイシズムを説いたもので、今日まで何代にも渡って子育てに、深く影響を与えています。

ジョン・B・ワトソンの研究には、何らかの価値があったかもしれない。しかし最終的には、崩壊した。

ジョン・B・ワトソンに残っていた名声も、ガラガラと音を立てて崩れ去ったのだ。

 

まとめ

では、ここで簡単にアルバート坊やについて、まとめたいと思います。

アルバート坊やとは、行動主義心理学の創設者であるジョン・B・ワトソンが行った実験の被験者である。

ジョン・B・ワトソンは、乳児とは白紙の状態にあり全ての人格と行動は環境的影響によって条件づけられる、と主張した。

自身の主張の裏付けを得るため、ジョン・B・ワトソンは、アルバート坊やに『白くてふわふわした物=恐怖』という条件付けをした。

アルバート坊やを被験者に選んだ理由は、健康で気質的にも元気で丈夫そうに見えたからとジョン・B・ワトソンは語った。

しかし、アルバート坊やは生まれながらにして病気を抱えていた事実が世に晒され、ジョン・B・ワトソンの主張に矛盾が生じることが判明した。

最終的に、ジョン・B・ワトソンの権威は失墜した。

アカネ
アカネ
箇条書きにすれば、こんな所ね。
ヒカル
ヒカル
これが有名なアルバート坊や、ですね。

今回はあなたに『アルバート坊やとは何か』を簡単にご説明させて頂きました。

参考になれれば幸いです。

 

さて、アルバート坊やの実験が行われた時代は、現代とは根本から違うのだろう。それ故に、人々の価値観や信じていることも、きっと違うはずだ。

今回お話しした『アルバート坊や』の実験が善なのか、はたまた悪なのか?

これに関しては、実際にこの目で確かめた訳ではなく、ただ文字を目で追って、分かったつもりになっている我々には判断しかねる事項である。

もちろん、これが全て事実なのであれば、悲しい限りである。

しかし、それと同時に感じること、それは…

現代人がこうしてあらゆる学問や知識にありつけるのは、このような過去の犠牲ありきなのではないだろうか。

例えば、あなたも風邪を引いた時、病院にかかり、薬局で薬を手に入れることができる。

これは紛れもなく、過去に行われた様々な実験、そして数えきれない犠牲の上に生み出された結晶と言っても過言ではない。

また、食事にしても同じだ。例えば、フグや豚肉の類もそれに準ずるだろう。

きっと、何人もの人々が毒抜きしきれていないフグを食べ、今日まで命を落としてきたのだろう。

きっと、火を通す前の豚肉を食べこの世を去った人々が、今日に至るまでに大勢いるはずである。

そして人間は、あらゆる検証、実験、研究を重ねた結果、フグには毒があることを知り、その後、毒抜きの方法を導き出した。

豚肉は加熱処理を施さなければならないことを、人間は学んだのだろう。

その検証や実験がたとえ命がけだとしても、人間の知的探究心はとどまるところを知らない。

そして心理学という学問も例外ではないはずである。

今こうして私とあなたが心理学を学べるのは、過去の犠牲のおかげにほかならない。

その恩恵を、学ぶ者は忘れるべきではない、そう思う次第である。

アカネ
アカネ
そんな風に考えると、勉強が嫌いなんて言えないわよね。

 

最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

アカネ
アカネ
あなたに素敵な心理勝利が訪れますように。

心理学メンタリスト図書館 館長

宮裏 アカネ(みやうら あかね)

ヒカル
ヒカル
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ナツキ
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